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VERTEX
第19章 欲しいのなら…
退屈極まりない学校が更に退屈を極めてくれる。
面倒臭い扱いを受けていた咲良ちゃんが今ではクラスの中心扱いに変わったからだ。
「幸村さんって北川さんと仲良くなかった?」
何故か私は昼休みにそんな事を聞かれるようになっていた。
「そうでもないよ…。」
苦笑いでそう答える。
人付き合いを避けて来た私と面倒臭い扱いを受けていた咲良ちゃんはたまたま一緒に居ただけだ。
優等生として成績上位に居た私の方がまだ他の人とは付き合いがあった方だったけれども受験が終われば自由の身だとばかりに面倒臭い咲良ちゃんの周りに人が集まり出す。
咲良ちゃんと短大の2年間を親しくしていれば就職に有利になる。
そんな打算的な噂が聞こえて来るけど私には関係がないと私は私のマイペースを貫いた。
「ねぇ、理梨ちゃん。年末にVERTEXの大きなイベントがあるってご存知?」
まさか学校でそんな話題を聞く事になるとは思わなかった。
顔を上げると咲良ちゃんと西岡さんが私の机の前に立っている。
その後には藤谷さんと北野さん…。
西岡さん、藤谷さん、北野さんは元々が3人組のお嬢様で幼稚園からこの学校に通っている。
咲良ちゃんも幼稚園から同じだったくせに
「北川さんのお嬢様レベルって桁が違うもの。」
と言っていた3人組。
今や咲良ちゃんのお取り巻きの筆頭株主と言われている。
「VERTEX?」
西岡さんが不思議そうに咲良ちゃんに聞く。
「ボクシングらしいんです。テレビ放映もされているらしいのですが、パパの会社が来年からのスポンサーをする事が決定したので、その年末のイベントに招待をされてますの。」
「咲良ちゃんのパパって凄ーい!」
「じゃあ、咲良ちゃんもテレビに映るの?」
口々にお取り巻きが囀り出す。