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VERTEX
第21章 負傷…

既に私と涼ちゃんの婚約祝いというよりも、希君と望ちゃんの為のクリスマスパーティーという名目に変わった夕食…。
うちのお父さんと涼ちゃんのお父さん、それに叔父さんとうちのおじいちゃんが加わってやたらとビールを飲み散らかしている。
「苺…、欲しい?」
涼ちゃんが自分の分のケーキに乗った苺を望ちゃんの前に出す。
大きな目をクリクリとさせて望ちゃんが大きくブンッと首を縦に振って頷く。
そりゃ、涼ちゃんはケーキを食べないのはわかっているけど…。
「望ちゃんにだけなの?」
なんとなく聞いてみる。
「え?嘘…、理梨も欲しかったのか?」
涼ちゃんが狼狽え出す。
「嘘だよ…、望ちゃんにあげて…。」
いつもの涼ちゃんだから笑っちゃう。
「なあ、涼ちゃんって本当に理梨ちゃんと結婚するのか?本当にうちの家族になるのか?」
希君は興奮をして何度も涼ちゃんに確認する。
「うん…、希の家族になる。」
涼ちゃんが希君の頭を撫でる。
「本当に子供好きだよね?」
「あれでVERTEXでのチャンピオンファイターだって言われても信じられないわよね。」
「でも…、いいんじゃない?優しい人が一番よ。暴力的なだけって人なんか怖くて理梨ちゃんをお嫁には出せないでしょ?」
今更なのに、うちのお母さんと温子さんが涼ちゃんの品定めをしている。
「理梨…、良かったね。」
私にそう言ってくれるのはおばあちゃん。
涼ちゃんのおばあちゃんも優しい人だけど私のおばあちゃんも朗らかで優しい人だ。
「うん…、ありがとう…。」
「なんかあれば、おばあちゃんの家においで。おばあちゃんはいつだって理梨の味方だからね。」
希君が生まれるまでは私が唯一の孫だった。
その分、おじいちゃんとおばあちゃんの私に対する甘やかし方も半端なかったと思う。

