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第21章 負傷…



「やっぱり…、理梨の家族って好きだ。」


本田家と比べてしまうから涼ちゃんがボヤく。

そんな涼ちゃんの言葉に涼ちゃんのお母さんだけが辛い顔をする。

涼ちゃんのお母さんはあの嫌味に耐えられずにもう何年も本田家に行かないダメな嫁扱いなっている。


「理梨ちゃんも…、嫌ならあそこには無理に行く必要はないよ。」


涼ちゃんのお父さんが私に気を使って言ってくれる。


「無理はしません。でも…、うちのおじいちゃんやおばあちゃんと同じように涼ちゃんのおばあちゃんも好きだから…、おばあちゃんには会いに行きますよ。」


笑ってそう答えるしかなかった。

大人の会話が始まる頃には望ちゃんが欠伸をして目を擦り出す。

人見知りをする望ちゃんなのに涼ちゃんにはしがみついて眠っちゃう。


「小さい時の理梨にそっくりだ。」

「私は望ちゃんほど可愛くありません。」

「可愛かったよ。理梨だけは守らなきゃっていつも思ってた。」


泣き虫だった涼ちゃんがそんな事を思っていたとか聞くと不思議な感じがする。


「涼ちゃんの方がすぐに泣いたのに?」

「悔しかったんだ。理梨を守りたいのに理梨よりもダメな男だったから悔しくて泣いた。」

「今は強くなったよね。」

「今もダメな男だと思う。だから…、時々、悔しくて泣きたくなる。」


そうやって涼ちゃんが男の顔をすると照れくさくてドキドキとかしちゃう。

未だにカッコ良くなった涼ちゃんに慣れていない。

情けなくてダメな男の涼ちゃんには強気で居られるのにとか考えちゃう。


「そろそろ…、帰るよ…。」


望ちゃんを座布団に寝かせて涼ちゃんが言う。


「送るから…。」


涼ちゃんはもう試合の事しか考えていない。

大人達は多分、今夜はお酒を深夜まで飲み明かすつもりだ。


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