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第3章 帰りたくない…



いつからだっけ?

そんな事を考える。

昔、涼ちゃんが熱を出した時に熱があるくせに1人で寝るのが怖いと言った涼ちゃんに


「私が一緒に寝てあげるから。」


と言って添い寝をした事を思い出す。

その頃から、何かと涼ちゃんが寝付くまで添い寝をする癖が付いた。

5分もせずに涼ちゃんの寝息が聞こえる。

変わらない寝顔。

私だけが知っている寝顔。

宝箱に閉じ込めて自分のものだけにしたいと思う可愛い寝顔を私だけには見せてくれる。


「おやすみ…。」


涼ちゃんの頬にキスをして、そっとベッドから出る。

やっぱり涼ちゃんにはちゃんと愛してるを言わせてやる。

私の中でそんな使命が生まれた。

このまま何もない平凡なだけの女の子じゃなく涼ちゃんの恋人として胸を張れる女の子になりたいと初めて思った。

自分の家に帰ってご飯を食べたらお風呂に入る。

週末は横浜…。

久しぶりに涼ちゃんとデート…。

退屈とか言ってられずに、かなり気合いが入る平日を過ごす事になった。

土曜日の朝には涼ちゃんが迎えに来てくれる。

涼ちゃんが買ってくれたお気に入りのワンピースに涼ちゃんが買ってくれたバッグに携帯と財布を入れる。

私の持ち物の半分以上は涼ちゃんが買ってくれたものばかり。


「また涼ちゃん?」


朝ご飯を食べているとお母さんが聞いて来る。


「今日は横浜で静香さんが来るんだよ。」

「あら、そう?」


静香さんとは霧島さんの奥さん…。

去年、結婚をしたばかりの新婚さん。

霧島さんと同じ高校の同級生で霧島さんと高校の時から付き合っていた静香さん。

霧島さんもVERTEXでデビューをしてすぐに熱愛報道が絶えない人だったから怒った霧島さんが静香さんに土下座をして結婚を申し込んだと聞いた。

静香さんは物静かな優しいお姉さん。


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