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VERTEX
第3章 帰りたくない…



久しぶりに会えるから、そういう意味でも張り切ってしまう。


「あんまり涼ちゃんに何でも買わせちゃダメよ。」


お母さんが私を嗜める。

別に私が欲しいと言って買わせてる訳じゃない。

VERTEXで稼ぐようになるとデートのたびに涼ちゃんが何でも私に買い与えるようになっただけ…。


「文句は涼ちゃんに言って…。」


お味噌汁を飲み干してお母さんに言う。

お母さんは苦笑いをするだけ…。

歯を磨き終わる頃には涼ちゃんが迎えに来てくれる。

私が全身涼ちゃん好みになっていると涼ちゃんはご機嫌になる。


「行こう。」


車のドアを開けてくれて、ここからの私はお姫様扱いになる。


「暑くないか?」


車内の気温まで私の為に気にする。

今は梅雨前…。

梅雨明けが来れば涼ちゃんはVERTEXのトーナメント戦に突入をするからデートなんか出来なくなる。

毎日のように一緒に居るのに少しでも時間があれば私とデートをしたがる。


「窓、開ければ気持ちいいくらい。」


ほんの少しだけ窓を開けて外気を入れる。

車を横浜に向けて高速道路を走る。


「うちのお母さんが涼ちゃんに買い物させるなって言ってる。」

「それは無理、霧島さん達とご飯を食べたら元町に連れて行く予定。」


やっぱりデートのつもりだと思う。


「なんで、そんなにすぐ買ってくれるの?」


愛してるの一言を期待する。


「理梨を俺好みにしたいから。」


涼ちゃんがニヤリとする。

その言葉はそれはそれで嬉しいけど…。

私が欲しい言葉じゃないし…。

愛してるの一言を言わせるのって難しい。

恋愛に未熟者な私には早くもこの使命が困難なものなのだと理解をした。


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