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VERTEX
第22章 挨拶…
「何故、お会い出来ませんの?」
「部外者は医務室に立ち入る事は出来ません。」
「部外者?VERTEXのスポンサーは部外者だと言われますの?」
「この先に入れるのはジムの関係者、もしくは身内だけなんです。ですから例えスポンサーであったとしても医務室に入る事は不可能です。」
篠原さんが苛立つ声を出している。
咲良ちゃんはそんな篠原さんに気付きもしていない。
「でしたら、医務室の中には入りませんから、こちらに少しだけRYOJIさんを呼んで下さればいいだけでしょ?先ほどの試合での怪我の具合を確認させて頂きたいだけなのです。」
「怪我の確認ならVERTEXの本部に問い合わせをして下さい。怪我をした選手には誰も会わせるつもりはありませんから…。」
いつまでも咲良ちゃんと篠原さんの言い争いを聞いていても仕方がない。
勇気君の手を離して医務室の前に近付く。
「理梨ちゃん…、どうやって、こちらまで入って来ましたの?」
私が裏方に入れないと思い込んでいた咲良ちゃんが私に驚いた顔をする。
「篠原さんが説明したように私がジムの関係者って立場の人間だからよ。」
「理梨ちゃんが?」
「そう…、正式には私が涼ちゃんの家族になるの。だから…、そこをどいてくれる?」
目を見開く咲良ちゃんを押し退けるようにして篠原さんの前に立つ。
「私は入れますよね?」
篠原さんがしっかりと頷くと私の為に医務室の扉を開けてくれる。
「理梨ちゃん…、私も…。」
咲良ちゃんが私について来ようとする。
「ごめん、咲良ちゃん…。ここから先は咲良ちゃんには入れない世界だから…。」
「理梨ちゃん?」
この先は下手をすれば私ですら部外者扱いを受ける世界だから、咲良ちゃんを連れて涼ちゃんと会うなんてお断りだと思う。
最悪は怪我の具合を私には誤魔化して報告をして来る可能性だってある。