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第22章 挨拶…



霧島さんの不調の事も私や静香さんには全く知らされなかった。

涼ちゃんの怪我についても同じ事をされる覚悟が必要になる。

とにかく涼ちゃんの無事を確かめたい。

医務室の扉を潜り抜けて中の様子を見る。

カーテンだけで何部屋かに仕切られた広い部屋。

医師が待機している医務室ではあるけど重症ならば救急車が呼ばれて、この医務室の奥にあるアリーナの裏口から搬送される。

篠原さんが入口に居たという事は救急車で搬送されるほどの重症ではない。

そんな事を1つずつ確認をして考えながらカーテンに仕切られた部屋を覗いていく。


「……、止めておけ…。」


一番奥から会長さんの声がする。

私がカーテンを除けた時


「出るよ…、不戦敗なんて絶対にお断りだ。」


と怖い声を出す涼ちゃんが居た。

その頭には痛々しい白い包帯が巻かれている。


「仕方がないだろ?」


会長さんが涼ちゃんを睨みつける。


「涼ちゃん…。」


すぐに涼ちゃんに寄り添った。

涼ちゃんは怖い顔をすぐに止めて治療用の黒い革張りのベッドの上から私を抱き寄せるようにして笑顔を見せて来る。


「理梨ちゃんからも、この馬鹿に言ってやってくれ。明日の試合は諦めろって…。」


私に向かって会長さんが吐き捨てるように言う。


「涼ちゃん…、出るつもり!?」

「うん…、出るよ。チャンピオンになる約束だろ?」


全身が凍り付く。

私の為…?

私が涼ちゃんをそんなに追い詰めている?

私が全部、悪いの?

私が負けてもいいよって言わないから?

恐ろしくなるほどの罪悪感が私の全身を支配する。

言わなきゃ…。

もう、いいよ…って私が言ってあげなければ、この人は無茶をしてでも戦ってしまう。


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