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VERTEX
第22章 挨拶…



「悪いけど、私はVERTEXの記者だからね。選手1人1人にインタビューをしてるからファイターの気持ちが一番理解を出来る立場なの…。」


胡桃さんが勝ち誇ったように私に言う。


「それは、良かったですね。」


その程度の嫌味を言い返すだけで私は精一杯だ。


「ファイターはね…、戦いに挑む時に自分の心の支えになるものを持った人ほど強くなるの…。その支えの為だけに必死に自分の最大限の力を出す事で頂点になれるのよ。逆を言えば、その支えを失えば一瞬でファイターは負けてしまう。」


観客の歓声が漏れてくるアリーナを睨みながら胡桃さんが私に語りかけて来る。


「涼二の心の支えって理梨ちゃんなんでしょ?彼…、学生時代に言ってたわ。理梨ちゃんを失くしたら自分は生きていけないから理梨ちゃんだけは絶対に裏切れないんだってね。今もあの時と変わらずに理梨ちゃんの為に戦おうとしている涼二を理梨ちゃんは観たくないからって見捨てるつもりなの?」


再び、胡桃さんが私を睨んで来た。

もう私には胡桃さんに言い返す気力はなかった。

胡桃さんの言う通りだと思う。

ミケと違って涼ちゃんにはVERTEXしかない。

私と幸せに暮らす為だけにVERTEXで頂点を取る事しか涼ちゃんの頭にはないんだと思う。

そんな涼ちゃんを裏切ってミケとVERTEXから逃げようかと一瞬でも考えた自分が嫌いになる。

私って馬鹿だ…。

涼ちゃんしか知らないくせに、涼ちゃんの事すらわかってない。

涼ちゃんが戦うのは全て私の為だけなんだと今更、胡桃さんに言われるとか本当に情けない女だと泣きたくなって来る。


「可哀想な涼二…。」


俯いて黙ってしまった私にそう追い討ちを掛けると胡桃さんがアリーナの中へと戻っていった。

馬鹿な私はどこにも行けずに再びアリーナの前で立ち止まったまま動けなくなっていた。


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