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VERTEX
第23章 敗北…

「理梨を…。」
「それも、わかってる。」
「なら…、いいんです。」
涼ちゃんと篠原さんの話が見えない。
「私が何?」
「今日の打ち上げで理梨をVERTEXの主催者に紹介する。だから理梨は俺から離れるな。」
涼ちゃんが厳しい顔をした意味がわかる。
霧島さんがチャンピオンのまま引退をすれば、涼ちゃんが私を婚約者だと公表をしてもVERTEXは涼ちゃんの言葉を認めるしかない。
だけど涼ちゃんは霧島さんが負けかもしれないと予想をしていた。
だからこそ怪我をしていても無理に試合に出てチャンピオンを座を取る必要があった。
そして今やミケの存在がもう1人のチャンピオンとして浮上した以上は人気投票に影響を及ぼす私のような存在は全面否定をしろとVERTEXから言われるに決まっている。
涼ちゃんが選ぶ道は全てが私といる為の道…。
「前にも言った。VERTEXが理梨を否定するなら俺もVERTEXを辞める。それは会長達も理解をしてくれている。理梨は内山田ジムの家族だと会長が言ったんだ。」
「でも…。」
「負けたとしても霧島さんの人気はそんな簡単には崩れない。霧島さんがダントツ人気のままなら俺の頂点なんか大した問題じゃない。」
強気で言う涼ちゃんの顔は厳しいままだ。
それだけ霧島さんの敗北に涼ちゃんが狼狽えているのがわかる。
「別に…、VERTEXが私の事を認めてくれなくてもいいよ。」
「理梨?」
「涼ちゃんが認めてくれるだけでいい。私はVERTEXとは関係がない部外者の凡人だもん。それでも涼ちゃんだけが私の事を認めてくれるなら、私はそれだけで満足だよ。」
「理梨が居なければ頂点なんか意味がない。」
いつものように涼ちゃんが私にしがみつく。
VERTEXが認めてくれなくてもいい。
涼ちゃんが私だけが欲しいように私も涼ちゃんだけが居ればいいと思う。
篠原さんだけが不安そうな顔をする。
「ごめんなさい…。」
篠原さんに涼ちゃんと私の我儘を謝った。

