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VERTEX
第24章 役立たず…

いつもなら、とっくに寝ている時間…。
試合での疲れも溜まっている。
それなのにラーメン1杯を食べるだけでも辛い思いをする涼ちゃんに悲しくなる。
「ごめんね…。」
私が車の免許を持っていれば…。
ちゃんと涼ちゃんを家に連れて帰れるのに…。
私がもっとしっかりとしていれば…。
涼ちゃんが私に過保護になる必要はないのに…。
私が平凡な子じゃなければ…。
VERTEXだって私の事を認めてくれるのに…。
涼ちゃんばかりに苦労をさせているのを感じるのが辛かった。
この先に涼ちゃんが頂点になる為にも私は邪魔なだけで何の役にも立たない。
咲良ちゃんのように涼ちゃんを頂点として売り出せるスポンサーにもなれない。
私が涼ちゃんにしてあげられる事は涼ちゃんだけを好きでいる事だけ…。
そんなのがこの先の涼ちゃんの為になんの役に立つのだろうか?
涼ちゃんは私の為にいつも必死なのに…。
私は涼ちゃんに何もしてあげられない。
悔しくて惨めで涙しか出て来ない。
ミケの言葉や静香さんの言葉が頭の中をぐるぐると駆け巡る。
私はVERTEXの世界では生きられない女の子…。
嫌なら涼ちゃん以外の人ともいっぱい恋愛をして涼ちゃんから離れればいい…。
それでも…。
「それでも…、涼ちゃんの傍に居たいの…。」
眠る涼ちゃんにキスをする。
涼ちゃんの頬に私が流す涙が流れ落ちる。
今だけは私の涼ちゃん…。
今だけは私と涼ちゃんだけの世界…。
涼ちゃんにしがみついて眠る。
涼ちゃんの温もりを感じながら惨めな自分に泣く事しか出来ずに眠るしかなかった。

