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VERTEX
第25章 半分っこ…
そして涼ちゃんが私の手を握る。
「だから俺は理梨と一緒に居たい。自分の人生を半分ずつに出来る相手って、そんな簡単には出会えないもんだろ?」
人生を分かち合う。
それが結婚…。
涼ちゃんは何でも半分ずつにして来た私だからこそ、それが出来ると言ってくれる。
半分っこ…。
それは涼ちゃんだから出来た事…。
うちでは私は一人娘だからと何でも優先して与えられて来た。
だから幼稚園などで先生から
『お友達とは仲良くしなければならないから半分っこをして下さい。』
とか言われると私も涼ちゃんと同じように理不尽を感じた事がある。
何故、無理に仲良くしなければならないの?
そんな考え方をした事もある。
なのに涼ちゃんには素直に半分ずつが出来る。
いつだって涼ちゃんは私が欲しいものを必ずくれる人だから…。
プリンを食べたいと言えばすぐに買ってくれる。
そのプリンをケチケチして独り占めするよりも涼ちゃんと食べた方が楽しいと私は知っている。
涼ちゃんとなら結婚が出来る。
恋愛は不安ばかり…。
泣き虫で弱虫の涼ちゃんはその不安が怖くてすぐに私にプロポーズをする。
「幸村 理梨さんだけを愛してる。だから理梨の人生を俺に下さい。」
「もう全部、あげてるでしょ?」
呆れて言い返すと涼ちゃんがキスをしてくれる。
一足飛びの結婚が不安だった自分が消えていく。
この人と結婚をする以上はこの人といっぱい恋愛を楽しめばいい。
その先に辛い事はたくさんあると思う。
VERTEXは簡単には私を認めてくれない。
それでも私の周りには私と涼ちゃんを認めてくれる人がたくさん居る。
私と涼ちゃんが一緒に居る事は自然で当たり前の事だと認めてくれる人達が居るのだから2人の未来は絶対に大丈夫だと思っていた。