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第25章 半分っこ…



「辛かったら…、無理はしなくていいんだよ。」

「無理はしてないよ。理梨が居てくれる。俺が欲しいものは理梨が全部くれる。それだけで俺は満足してるからね。」


おばあちゃんと涼ちゃんの会話を聞いて考える。

涼ちゃんが欲しいもの?

私は涼ちゃんに何をあげているんだろう?

よくわからないまま涼ちゃんにチーズケーキを1口分を差し出してみる。

涼ちゃんはそれをご機嫌で食べてくれる。

静かな午後をおばあちゃんと過ごした。

おばあちゃんを送ってから涼ちゃんと家に帰る。


「私は涼ちゃんに何もしてあげてないよ。」


何も出来ない惨めな自分を涼ちゃんに晒してみる。


「して貰ってる。」


涼ちゃんが照れたように笑う。


「何を?」

「昔っから理梨は何でも俺と半分ずつにしてくれるだろ?」


涼ちゃんが昔話をしてくれる。

私が3歳くらいの時…。

涼ちゃんの家にプリンが1つしかなくて、涼ちゃんのお母さんが


「理梨ちゃんにあげなさい。涼二はお兄ちゃんなんだから我慢をしないとダメよ。」


と言った。

まだ小学校に行く前の涼ちゃんはそれを理不尽だと感じた。

お兄ちゃんという理由だけでプリンを諦めなければならない理由がわからない。

その瞬間、私が涼ちゃんに向かって


「半分っこ!」


と言ってプリンを掬ったスプーンを涼ちゃんに差し出したらしい。


「その時に初めて自分が恥ずかしい事をしてるって気付いたんだ。俺よりも小さな理梨の方が俺よりもしっかりしてるのが悔しかったんだよ。」


それから涼ちゃんは何でも私と半分っこをするようになった。

その後に涼ちゃんのプロポーズ事件があり、振られた涼ちゃんはもっと自分がしっかりとして強くならなければと思った。


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