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第27章 負けたくない…



我儘なのは充分に理解をしている。

だけど涼ちゃんがなりたいのは私の我儘を全て受け止められる男になる事だ。

そんな扱いの私がなりたいものなんか見つけられる訳がない。

もし私が東京の会社に行きたいと言えば涼ちゃんがついて来る。

アメリカだろうと中国だろうと私が行きたいと言えば涼ちゃんが連れて行くに決まっている。

そういう人だから私はそのままの私でいる事が大切なんだと考える。

今までの私が違う自分に変わってしまったら涼ちゃんがきっと悲しむから…。

そうやって、ぼんやりと考えていると頭をくしゃくしゃと撫でられる。


「理梨…、俺が見えてる?」


いつの間にか涼ちゃんがうちに来てた。


「ジムの時間?」

「そうだよ。明日からは一緒には行けないだろ?」


明日からは普通に学校…。

またため息が出てしまう。


「なんかあったのか?」


ジムに行く道中で簡単に涼ちゃんにも説明をする。


「身の程知らずって誰が決めたんだよ。」


涼ちゃんが怖い顔に変わる。

私を傷つける人を許さない顔…。


「別に…、いいよ。どうせ後ひと月で卒業だし…。」

「だけど短大もあるだろ?」

「全ての人が私を身の程知らずって言ってる訳じゃないからね。一部の人が勘違いをして、そう言っているだけだよ。」


国分さんのように自分と関係のない事には興味を示さない人だっている。

あまり咲良ちゃん達の行動が酷い時は咲良ちゃん達の方が学校に罰せられるから、酷い嫌がらせを受けるような事はない。

それでも…。


「俺に出来る事はあるか?」


私の顔を撫でて心配そうに犬男が覗き込む。


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