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VERTEX
第27章 負けたくない…



旅行から戻って来た咲良ちゃん達が学校に通い出した途端に状況が悪化した。

藤谷さんの机に


『ご機嫌取り』


とチョークで書かれたからだ。

これには流石に頭に来る。

なのに私が文句を言う前に


「一体、誰が『身の程知らず』で誰が『ご機嫌取り』なわけ?こんなくだらない事ばかりしている人の方がよっぽど身の程知らずでお嬢様のご機嫌取りしか出来ないクズよね。」


と国分さんがキレて教室中に向かってそう叫んでしまった。


「そうね…、国分さんの言う通りだと思う。だけど…、周りから認められずに自分の思い込みだけで彼氏自慢をする人って身の程知らずを超えてストーカーって言わないかしら?」


国分さんに向かって咲良ちゃんが言い返す。


「幸村さんの事?お互いのご両親も認めてるんだから、ストーカーとは言わないでしょ?」

「VERTEXはストーカー扱いですの。RYOJIさんにとって今が一番大事な時期だから迷惑だと幸村さんにはっきりと言ってるのに幸村さんが聞いてくれないって私ははっきりと聞いたわ。本当に愛してるのなら普通は身を引くのが愛情ってものだわ。」


咲良ちゃんの言葉に国分さんが言い返せなくなる。

VERTEXの言葉までは国分さんのように普通の学生にまではわからない事だから当然だと思う。

だけど私は違う。


「VERTEXは涼ちゃんに約束をしたわ。1年の間に頂点をやり通せば私の存在を認めると…。だからストーカー扱いまでされる覚えはないわ。」


国分さんの代わりに私が咲良ちゃんに言い返す。

なのに咲良ちゃんが意地悪に笑う。


「その頂点をやり通すのにスポンサーは絶対に必要な世界だってわかってないの?わからないなら尚更、RYOJIさんにとって迷惑にしかなってないわ。」


一方的な咲良ちゃんの言い分にさすがに頭に来る。


「もし…、それが事実だとしても残念な事にGグループのスポンサーにだけは涼ちゃんは頼らないはずよ。だって…、咲良ちゃんがタレントになる為に利用されるのだけは涼ちゃんはお断りだと言ってたもの。」


一番、咲良ちゃんにとって屈辱的な言葉を吐いていた。

その日からクラス中が真っ二つに分かれてしまうという卒業までの悲しい2週間を味わう事になっても私は咲良ちゃんの存在を認める事だけは出来なかった。


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