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VERTEX
第27章 負けたくない…
「幸村さんの為なの?」
「多分…、私がそんな風に追い込んだから…。」
「その気持ち…、なんとなくわかる気がする。自分と釣り合わない人と付き合うって疲れちゃうよね。」
咲良ちゃんが桁外れなお嬢様だからと付き合いを避けて来た藤谷さん。
不釣り合いが辛いと私に愚痴を零す。
不思議な事に何故か、その日から妙に藤谷さんと過ごす学校生活になる。
国分さんまで加わって卒業前に変なグループになってしまう。
「サラリーマンの子の方が憧れだよ。」
お父さんが地元の食品加工会社と土産物屋の社長をやっている藤谷さんが言う。
私も国分さんもサラリーマンの子…。
「でも…、学費とか不自由がないじゃない?」
春から東京の大学に行く国分さんは生活費とか大変ならしい…。
「地元会社の社長の子は地元から動けないもん。わざわざ短大を出た後は、ずっとかまぼこを作って土産物屋で売るって未来だから楽しくないよ。」
「幸村さんは短大を出たら主婦?」
「涼ちゃんがVERTEXを辞めない限りはそうなっちゃうかな?食事管理とか色々あるし…。」
「アスリートって大変だよね。」
国分さんと藤谷さんが最近は私という人間を理解しようとしてくれる。
「アスリートなのに…、ずっと地元?」
藤谷さんが聞いて来る。
「涼ちゃんが地元を好きだから…、東京とかは都会過ぎて嫌ならしい…。でも、南の島での平凡な暮らしには憧れてるみたい。」
「テレビとか出て派手な事してるのに?」
「あれって、かなり無理をしてるんだよ。」
「北川さんなんか…、自分からテレビに出たがってるのにね。」
そんな平和な会話が出来るのは僅か3日間の事…。