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VERTEX
第3章 帰りたくない…
終わって欲しくない1日…。
明日からは戦う為に練習しかしない涼ちゃんになる。
蔑ろにされる訳じゃないけれど恋人気分の時間はないから今日を終わりたくないとか思っちゃう。
車に乗って高速道路を走る間、ずっと会話が出来ないまま車だけはどんどんと家に向かって近付いてく。
「もし、理梨を帰したくないって言ったら理梨はどうする?」
高速道路を降りて家の近くまで来ると、そんな事を涼ちゃんが言い出した。
「帰らないと困るじゃん?涼ちゃんは明日も練習があるんだから…。」
いつもみたいに可愛くない言葉を涼ちゃんに浴びせちゃう。
私も帰りたくないよ…。
本当の言葉を飲み込んで乾いた笑いをしてしまう。
家の前で車が停まる。
涼ちゃんが両手で私の顔を包み込む。
「いつか、理梨に伝えたい事がある。」
そう言って私の唇に唇を重ねて来る。
伝えたい事…?
私を愛してる?
それとも別れたい?
もう涼ちゃんは私には遠い人だから不安になる。
黒い髪でメガネをしている涼ちゃんだから知らない男の人にキスされているみたいにドキドキする。
いつもよりも長いキス…。
唾液が溢れるほど涼ちゃんの舌が私の口の中を掻き回す。
息が出来ずに頭が熱くなって何も考えられなくなる。
「ふぁ…。」
涼ちゃんのキスが離れると力が抜けて涼ちゃんにしがみつく。
「マジで帰せなくなる。」
涼ちゃんが私を抱きしめて来る。
だったら愛してるの一言くらい言ってよ。
しばらくは2人とも動けないまま抱き合って何度もキスを繰り返した。
「明日は日曜日だから一緒にジムに行こうな。」
やっと涼ちゃんが私から離れて明日の約束をしてくれる。
恋人の時間が終わった。
涼ちゃんはVERTEXのファイターとして自分の家に帰る。
私は泣きそうな気分のまま今夜はお母さん達とは話もせずにベッドに潜って眠った。