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第3章 帰りたくない…



「うー…。」


お箸を咥えた涼ちゃんが情けない顔で唸る。

どこまで行っても犬男…。

恋人としては私も涼ちゃんも未熟者…。

霧島さんや静香さんを憧れるけど…、私と涼ちゃんはそんな風になれそうにない。

静香さんの体調を気遣ってご飯の後は霧島さん達と別れて涼ちゃんと2人だけで元町へと向かった。

買い物の時は高いブランドショップは嫌だと涼ちゃんに言ってある。

あまり高いものばかりだと本気でお母さんに怒られるから涼ちゃんもそのつもりで買い物をする。

されど涼ちゃん…。

やっぱり涼ちゃん…。

自分の好みで片っ端からお店に入り順番に私用のコーディネートをしてくれる。

夏物で肩が開いた七分袖の白のTシャツ…。

前をリボンベルトで留める淡い水色のエプロンスカート…。

白のサンダルに白のバッグ…。

次のトーナメントを見に行く為の服を全て涼ちゃんが取り揃える。


「他に必要なものは?お姫様。」


笑顔でそう聞かれるとドキドキする。

必要なもの…。

愛してるの一言が欲しい…。

涼ちゃんのダンガリーシャツの袖を握る。


「クレープが食べたい。」


今更、恋人らしい望みは恥ずかしくて涼ちゃんに言えない。

涼ちゃんが私の為にクレープ屋さんに並んでくれる。

私の好みを理解している涼ちゃんは何も聞かずに注文する。


「苺生クリームのチョコチップトッピングで…。」


涼ちゃんはジュースを買う。


「理梨…、一口…。」


自分のは買わないくせに私の分は必ず一口だけ食べたがる。

カロリー制限の為…。

わかっているから一口だけを私も必ず食べさせてあげるようにしている。

日が暮れるまで涼ちゃんと遊んだ。

ちょっとお洒落なイタリアンレストランで夕食のピザを食べた。

夕食の後は帰るだけ…。


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