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第4章 緊張する…



ジムの2階はジムの選手達のロッカールームやシャワー室になっている。

更に3階は会長さんの自宅になっているから私でも2階へは上がった事がない。

それよりも…。


「何故、あの人が来てるんですか?」


霧島さんに聞いてみる。

霧島さんは甘い顔で穏やかに笑って答えてくれる。


「一応、謝罪に来たと言っている。理梨ちゃんが気にする事じゃないよ。」


優しい霧島さんはそう言うけれど私はなんとなく落ち着かない。

着替えを済ませた涼ちゃんが階段を降りて来ると国崎さんが涼ちゃんに駆け寄った。


「ごめんなさい、あんな騒ぎになるなんて思ってなかったの…。」


国崎さんの謝罪に涼ちゃんは見向きもしない。

まるで彼女がここに存在しないような素振りで手を広げて指にバンテージを巻き付ける。


「良かったら、お詫びに食事でも行きませんか?」


国崎さんは涼ちゃんに向かって満面の笑みを浮かべて聞いている。

さすが女優の笑顔だと思う。

会長さんも篠原さんも霧島さんも国崎さんの嘘や下心にウンザリとした顔をした。

本気で謝罪をするつもりなら1人でこのジムに来ないはずだ。

如何にも足繁くジムに通ってますアピールをされればジムから出した熱愛報道の否定が意味を失くす。

その上でまた食事などに行けば今度は涼ちゃんの方が嘘つき扱いになってしまう。

涼ちゃんは何も言ってないのに…。

仕事仲間として写真を頼まれたから写真を撮っただけなのに…。

その全てを利用しようとする国崎さんに早く消えて欲しいと思った。

涼ちゃんは完全に国崎さんをスルーしている。


「行くぞ。」


篠原さんがバンテージを巻き終わった涼ちゃんとジムを出てロードへと向かった。


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