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VERTEX
第5章 部外者…
減量明けの最初の食事は会長さんが食べさせたいという気持ちが伝わって来る。
会長さんが注文するメニューは涼ちゃんや霧島さんが好きなものばかり…。
「ちょっといいかな?」
篠原さんが私に話し掛けて来る。
「はい?」
涼ちゃんにお寿司を取り分けてから篠原さんの方へと顔を向ける。
「理梨ちゃん…、高校を出たら涼二のマネージャーになってみないか?」
まさかの話だった。
今の私の立場を明確にするには涼ちゃんの付き人という形にするのが最善だと篠原さんが言う。
「でも…。」
私は短大に行く目標がある。
「理梨は大学に行くんだよ。だから、その話は無理だと言ったはずだろ?」
涼ちゃんが私の代わりに篠原さんと話をしてくれる。
「けどな…。」
「VERTEXが理梨を受け入れないのなら俺はVERTEXには従わない。」
「そういう訳にも行かなくなる。」
「それでも理梨を蔑ろにする気ならVERTEXで仕事をするつもりはないよ。」
涼ちゃんが言い切ってしまうから、これ以上の話は無理だと篠原さんの方が諦めた。
いつもなら我儘を言うなと言う会長さんは難しい顔をして黙ったまま…。
霧島さんも微妙な顔をしている。
状況がわからないのは私と静香さんだけ…。
「何かあるの?」
不安になって涼ちゃんに聞いてみる。
「理梨が心配する事は何もないよ。」
涼ちゃんが笑って答えてくれる。
「さっさと飯を食ってホテルに帰るぞ。」
会長さんの言葉で皆んなが慌てるようにしてご飯を食べる。
もう夜の11時を過ぎている。
霧島さんも涼ちゃんも疲れているから早くホテルに帰して寝かせてあげるのが優先だ。