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VERTEX
第5章 部外者…
「自分の車で来たの!?」
てっきりジムのマイクロバスで来たとばかり思っていた。
自分で運転をしてここまで来たら目が疲れたりして体調に影響をする。
「運転は篠原さんに頼んだんだ。」
涼ちゃんはそう言うけど、それはそれでやはり心配になっちゃう。
「帰りは理梨と帰りたかったから…。東京で遊んで帰るなら車が無いと不便だろ?」
涼ちゃんはニコニコして私の頬にキスをする。
全てが私の為…。
嬉しいけれど悲しくなる。
「理梨と居たいんだ。」
いつもと変わらずに私の髪を匂うようにして鼻を埋めて来る。
犬男がベタベタと甘えて来る。
「涼二っ!」
駐車場の向こうから叫び声がする。
会長さん達がアリーナから駐車場へと出て来た。
今日は愛用のハリセンを持っていない。
「勝手に抜け出すな!」
「理梨が追い出されるのに1人になんか出来る訳ねぇじゃん。」
「わかってる。次からは理梨ちゃんの保護者の許可をVERTEX側に出して理梨ちゃんが関係者として入れるように手続きを取る。とにかく飯に行くぞ。」
会長さんの言葉に涼ちゃんがホッとした顔をする。
平凡な女子高生が涼ちゃんの傍に居る為には何かと手続きが必要になると思うと凹む。
篠原さんが涼ちゃんに車の鍵を渡してくれる。
「絶対に事故るなよ。」
会長さんが涼ちゃんを睨む。
「理梨を乗せて事故る訳ねぇよ。」
涼ちゃんが開き直る。
ため息が出た。
私と静香さんが荷物を預けていた駅前のロッカーから荷物を取り出すと会長さんがマイクロバスで予約をした居酒屋さんへと向かった。
ジムだけの打ち上げ…。
会長さんは必ず試合の後は選手に食事を振る舞うという人だ。