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第6章 見ないで…



ホテルのフロントで涼ちゃんが鍵を貰っている。

結構、大きめのホテル…。


「朝食はブュッフェらしいよ。」


私の荷物を持ってくれる涼ちゃんとエレベーターに乗り込んだ。

2人だけで外泊するのは初めての事だから…。

有り得ないほどに緊張する。

お互いの家でどちらかが眠ってしまった時は何度かあるけど、そんな時は純粋に眠っているから間違いなど起きるはずもなく、そういう意味でも涼ちゃんの信用度はうちの親にもかなり高い。

その涼ちゃんがわざわざ2人だけでホテルに泊まろうと言う以上は何もないですでは済まない気がして落ち着かない。

今夜…。

キャーッ!?

考えたくない!

考えれば考えるほどに緊張をしちゃう。

ホテルの部屋に入ると目に飛び込んで来るのは広いダブルベッド…。

ツインじゃない…。

つまり…。

やっぱり…。

腰が抜けそうになる。

ど田舎とはいえお嬢様学校に進学した私は、そういう事に免疫が全くない。

一部の子が彼氏との体験談をしていても大半の子がそんな話は汚らわしいという顔で避けて通るような学校では耳年増にすらなれない、世間に疎い女の子になってしまう。

1人でもんもんとして今からの涼ちゃんとの夜を考えてしまう。

やばい…。

どうしよう…。

どうすればいい?

誰に聞いているんだとツッコまれそうな言葉が頭の中でグルグルと駆け回る。


「理梨…、風呂に入る?」


涼ちゃんがいきなり腰を抱いて聞いて来る。


「風呂!?」

「うん、お風呂…、入りたいだろ?」

「ひっ!?」


涼ちゃんはいつものように私の髪を掻き上げて、うなじにキスをしただけ…。

勝手に身体が強ばってガチガチの私はロボットみたいにギクシャクする。


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