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VERTEX
第7章 仕事だから…



「出演は俺1人じゃないし、2泊3日も行くような仕事は練習の邪魔になる。」


涼ちゃんが尤もらしい事を言う。


「それでもスポンサーさんを蔑ろには出来ないんだから涼ちゃんの意見をVERTEXは認めてくれないでしょ?」

「出演相手があの国崎でも理梨は俺に行って来いって言うのか?理梨がどうしても行けって言うのなら行ってやる。」


どういう事?

会長さんと篠原さんを見る。


「旅行会社のCMで…、CMの設定が結婚式から新婚旅行…、最後が家族旅行という設定での撮影を沖縄の石垣島でやるんだ。」


会長さんが嫌な顔をした。


「そんな仕事は嘘でもお断りだ。俺はファイターであってモデルや俳優じゃない。」


涼ちゃんが会長さんに冷たく言う。


「理梨ちゃんがマネージャーとして同行をする条件ならいいのか?」


会長さんも涼ちゃんを睨みながら言う。


「そんな暇があるなら理梨と2人で旅行に行く。」

「妥協するしかないだろ?」

「妥協はしない。」

「これは決定だ。悪いが理梨ちゃんと行って来い!」


無理矢理の決定だった。

涼ちゃんと涼ちゃんの家に帰ってから話をする。


「いつ、この仕事の話を聞いたの?」

「先週、VERTEXから電話があったから断ったらVERTEXからジムに連絡が行ったんだ。」


CMやテレビ出演の話はジムを通さずに涼ちゃんに直接、連絡が来る。

だから受ける受けないは涼ちゃんの自由のはず。


「VERTEXは無理矢理にでも俺を売り出したい方針なんだ。」

「なんで?霧島さんが居るのに…。」

「さあな。」


涼ちゃんが私にしがみついて寝ようとする。


「こら!ちゃんと説明をしろ!」

「知らない。VERTEXの考えまで俺には関係ないはずなんだ。」


それだけを言うと涼ちゃんが寝てしまう。

これ以上は何を言っても無駄だと思うから、ベッドから抜け出して自分の家に帰った。


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