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VERTEX
第7章 仕事だから…



「彼女がそうだよ。俺の全てがわかってるのは理梨だけだから…。」


涼ちゃんが平然と答える。

どう見ても高校生の私を色々な人がジロジロと見る。


「彼女が幸村 理梨さんね。よろしくお願いします。」


背の高い、綺麗な女の人が私に頭を下げて来る。

名刺を差し出される。

VERTEXの広報担当となっている。

桂木 和美(かずみ)さん…。

格闘家の場合は身内がマネージャー代わりをする事が多く、付き添いを奥さんに頼む人が居るから和美さんだけが私に違和感を感じてないようだ。


「内山田会長からRYOJIさんに関しては全て幸村さんを通す方がいいとアドバイスを受けてます。幸村さんの方で何か質問があれば全部私に聞いて下さいね。」


和美さんがジムの会長さんから私の事を聞いていると知って少しホッとした。


「おはようございます!」


スタッフさん達の空気が変わった。

国崎さんが男の人を連れて現れた。

涼ちゃんが露骨に嫌な顔をする。


「RYOJIさん、お久しぶりです。」


国崎さんの方は平然と涼ちゃんに近寄って来る。


「打ち合わせを始めるので席に着いて下さい。」


スタッフの言葉で私は涼ちゃんを国崎さんに一番遠い席に座らせた。

スポンサーさんから来た広報担当者からの挨拶で始まる夕食会。

次がCM製作会社さんからの今回のCMのコンセプトの説明。

監督さんや照明さんにカメラマンさんなどのスタッフさんの紹介。

後は衣装関係のスタッフさんとメイク関係のスタッフさん。

20人以上の人が集まって僅か30秒ほどしか使わないCMを撮影する。

今回は一切セリフのないCM。

涼ちゃんと国崎さんの映像に後からナレーションが入る形になるという。


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