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第7章 仕事だから…



夕方になり昨日と同じように夕日が海岸を真っ赤に染めていく中を涼ちゃんと国崎さんが順調に撮影を進めていく。

当初は子供の手を繋ぐ予定だったけれど思ったよりも子供が小さかった為に涼ちゃんが子供を肩車をして涼ちゃんに国崎さんが寄り添う形に変更をされた。

後は食事のシーンをホテルに帰って撮影をしたら今日の分は終了だと監督さんが言う。

予定よりも撮影が早く終わると誰もが喜んでいた。

夜の食事シーンも涼ちゃんがグラスにシャンパンを注ぎ笑顔の国崎さんにグラスを渡すという部分から順調に始まった。

お互いが穏やかに見つめ合いグラスとグラスを軽く当てて乾杯をする。

これもすぐにカットが入り撮影が終了した。

撮影用のテーブルから涼ちゃんが立とうとすると国崎さんが涼ちゃんに何かを言った。

涼ちゃんが冷たい顔に変わり国崎さんに何かを言い返す。


「馬鹿にしないでよ!」


国崎さんが叫んだからスタッフさんや監督さんの誰もが国崎さんの方を見た。

涼ちゃんはそのまま国崎さんに背を向けて真っ直ぐに私の方へと歩いて来る。

スタッフさん達がざわつく。

国崎さんが泣き出した。

涼ちゃんは私の手を握って撮影用の部屋から出た。


「何があったの?」

「ドラマの仕事に興味ないかと言われたから大根役者の引き立て役はもうお断りだと言ってやった。」


涼ちゃんが冷たい表情のままホテルの廊下を私の手を引いて歩く。


「RYOJIさん…。」


和美さんから呼び止められた。


「スタッフの方達とこの後は夕食ですが…。」

「ルームサービスで済ませる。本来ならこの時間に飯とか食いたくないんだ。」


和美さんにも涼ちゃんが冷たい表情を向ける。

誰も受け入れない姿勢を涼ちゃんが崩さない。

私は和美さんに頭だけを下げて涼ちゃんと自分達の部屋に向かった。

今夜は涼ちゃんがこれ以上は嫌な気分にならないようにだけしようと思った。


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