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第8章 したい…




背中にキスをされる。

次がうなじ…。

そして耳元…。


「理梨…、起きて…、腹が減った。」


涼ちゃんの声がする。

目を開けると全裸のままベッドの中だった。


「涼ちゃん!?」

「夕べ、理梨が失神したから焦った。」


涼ちゃんが笑う。


「馬鹿ぁ!」

「ごめん。」


優しく抱きしめてくれる。

なんとなく、まだ涼ちゃんに触られているみたいにお腹の中がムズムズする感じがする。

シーツを身体に巻き付ける。


「あっち向いてて…。」

「昨日、全部見たし…。」


涼ちゃんがニヤニヤとする。

その犬男の頭を押さえ付けて


「ご飯が食べたいなら、あっちを向きなさい!」


と躾をする。


「ちぇっ…。」


涼ちゃんがふてくされてそっぽを向く間にソファーにあった下着を拾い上げて着替えを持ってシャワーに向かう。

無事にシャワーを済ませて着替えが済むと涼ちゃんとホテルの部屋を出た。

向かいの部屋の扉が開き、丁度、和美さんも朝食に出て来る。


「おはようございます…。」


和美さんに頭を下げた。


「丁度良かった。今、連絡しようと思ってたところなんです。今日の撮影は午後からになりましたから。」


和美さんが微妙な顔をして涼ちゃんを見た。


「撮影は午後から?」

「国崎さんの体調が悪いらしいんです。」

「ふーん…。」

「それじゃあ…。」


涼ちゃんが興味無さそうに答えると和美さんはレストランへと向かった。


「なら、朝食はホテルの外に行こうぜ。」


涼ちゃんが私の手を握ってホテルの出口へと向かう。


「外?」

「このホテルの朝飯じゃ足りないんだよ。」


涼ちゃんが朝はガッツリと食べたいと言う。


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