この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
また何処かで会いましょう
第2章 まさかの同居生活
「お待たせしました~!」
珈琲を紫さんの席まで運び、カウンターテーブルへ置くと、私はお盆を両手で持ったまま頭を下げた。
相変わらず紫さんは無愛想で、そのまま何も話さず珈琲を飲もうとしている。
……怒られるかもしれないけど、さっきマスターに言われた通りにしてみよう。
「あの、紫さん……」
そうっと紫さんの方へ近づきながら、私は声を掛けた。
「は?何だよ?」
そして、紫さんの耳に向かって――
「ふう!」
息を吹き掛けると、ビクッと驚いた紫さん。
その拍子に、帽子が床へと落ちていく光景がスローモーションの映像の様に視界に映った。
まさか目の前に、よく知った男の人が現れるなんて思ってもいなかった……。
「えっ……。えっ、えっ……。嘘……」
元俳優の須藤 紫!?