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夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第1章 前編

「そうか…おめでとう。お前なら、良い家庭を築けるだろう」
男は激励の気持ちを込めて、友人の肩を叩きました。
友人の慶事がまるで自分の事の様に喜ばしく思われて、久し振りに心から笑う事が出来た気がしました。
「ありがとう。式には全部参列してくれよ?なんだったら、お前のお相手も一緒にどうだ?席を用意させるぞ」
「…いや、それは…」
にこにこと提案してくる友人への答えに詰まり、男は口籠りました。
「なんだ?纏まるきっかけを提供してやってるってのに、乗らないとは…残念な奴だ」
「…余計なお世話だ」
「お前も、早く決めてやれよ。先輩として一言教えといてやるが、口でなんと言って居ようが、女ってのは男の求婚を待ってるものだぞ。子どもの頃から夢見てるらしいから、面倒でも有るけどな。その位は叶えてみせてやるのも、男の甲斐性だぞ」
(結婚できる相手なら、な…)
男は友人が浮かれて言い募る一言一言に、胸を抉られるような気持ちになりました。
この先もずっと女を手に入れられないだろう事など、十分に分かっておりました。それなのに、諦める事が出来ないのです。女自身から言われた様に、誰か別の相手を探す気になど、全くなりそうもありません。
(手に入らないと思うから、余計あいつが欲しくなってるだけなのか…?いや、そうじゃ無え)
先日会った際に、「もう少し早く会えていたら」とは、女も言っておりました。
初めて出会った時は、未婚の娘だと思っていたのです。それでも近付きたいと思ったのですから、もしも人妻で無かったとしたら、喜んで友人の結婚式に、彼女を伴って赴いていたでしょう。
(それより、もしそうだったなら、こいつより先に結婚してたかもしれねぇな…)
一目惚れした上に、体の相性が恐ろしく合うのです。櫛を渡した時の様子は素直で愛らしく、気立ても悪くなさそうでした。相手の方も少なからず、男と同じように思って居るのです。他人の物でさえ無かったら、あっという間に纏まっていたとしても不思議は有りませんでした。
(…馬鹿みてぇだな。全部、考えるだけ無駄な事だ)
男は小さく首を振り、友人に声を掛けて、再び仕事に戻りました。
男は激励の気持ちを込めて、友人の肩を叩きました。
友人の慶事がまるで自分の事の様に喜ばしく思われて、久し振りに心から笑う事が出来た気がしました。
「ありがとう。式には全部参列してくれよ?なんだったら、お前のお相手も一緒にどうだ?席を用意させるぞ」
「…いや、それは…」
にこにこと提案してくる友人への答えに詰まり、男は口籠りました。
「なんだ?纏まるきっかけを提供してやってるってのに、乗らないとは…残念な奴だ」
「…余計なお世話だ」
「お前も、早く決めてやれよ。先輩として一言教えといてやるが、口でなんと言って居ようが、女ってのは男の求婚を待ってるものだぞ。子どもの頃から夢見てるらしいから、面倒でも有るけどな。その位は叶えてみせてやるのも、男の甲斐性だぞ」
(結婚できる相手なら、な…)
男は友人が浮かれて言い募る一言一言に、胸を抉られるような気持ちになりました。
この先もずっと女を手に入れられないだろう事など、十分に分かっておりました。それなのに、諦める事が出来ないのです。女自身から言われた様に、誰か別の相手を探す気になど、全くなりそうもありません。
(手に入らないと思うから、余計あいつが欲しくなってるだけなのか…?いや、そうじゃ無え)
先日会った際に、「もう少し早く会えていたら」とは、女も言っておりました。
初めて出会った時は、未婚の娘だと思っていたのです。それでも近付きたいと思ったのですから、もしも人妻で無かったとしたら、喜んで友人の結婚式に、彼女を伴って赴いていたでしょう。
(それより、もしそうだったなら、こいつより先に結婚してたかもしれねぇな…)
一目惚れした上に、体の相性が恐ろしく合うのです。櫛を渡した時の様子は素直で愛らしく、気立ても悪くなさそうでした。相手の方も少なからず、男と同じように思って居るのです。他人の物でさえ無かったら、あっという間に纏まっていたとしても不思議は有りませんでした。
(…馬鹿みてぇだな。全部、考えるだけ無駄な事だ)
男は小さく首を振り、友人に声を掛けて、再び仕事に戻りました。

