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姫巫女さまの夜伽噺
第12章 夜伽噺の終わりに
「あっ…だめ、志摩…!」
「駄目じゃないだろ、阿保。
こんなにされて…俺のものなのに。
あの蜥蜴やろう、後で炭になるまで焼いて食ってやる」
「やめて、志摩、そんなこと…っあ」
「お前、この後に及んで、あの男を庇うのか?」
「違うけど…っん」
伊良の救出劇が終わると
穂高は「どうぞお二人さん、お好きに」と言い残して
蜥蜴と黒い塊を持って
爽やかな笑みを残して自分の部屋へと消えた。
そのあまりの爽やかさに
ありえないほどの怒りを含んでいることを知っている志摩と伊良は
その時の穂高の笑顔を後になって
「死神の微笑み」と呼んで恐れた。
「あんなに怒り狂ってる穂高見るの久しぶりだ…」
志摩でさえ呆れ、そして
くわばらくわばら、と言いながら肩をすくめて居た。
双子は相当疲れたようで
「僕たちも、少し休みます。また後ほど…」と言って去っていく。
その場に残された伊良は
志摩に強く強く抱きしめられた後
湯殿へと連れられた。
着物は狐火で燃やされ
風呂に入るなり
志摩の熱すぎて火傷しそうな口づけが
伊良の全身を襲った。
まずは呪いを消すべく薬湯をかけ流し
そして宝珠をあてる。
皮膚の焼け焦げる臭いがして
痛みに歯をくいしばる。
宝珠の力を持ってしても
呪いを消し去るまでには時間がかかり
その間中、もう一方の手で全身をきれいに洗われた。