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湯上がり慕情 浴衣娘と中年ピンチ君
第3章 仕込む
 土砂降りの雨は、奈々には全く気にならなかった。こんなふうに雨を避けてしがみついているだけで、彼の動きと体温が、自分の腕と手のひらから伝わってくる。
 一方、野上は奈々の肩を抱いて歩きながら、ふと思った。
 これほどいい女があそこに立っていれば、誰か一人くらいは彼女に注目していたとしても不思議ではない。それが今、自分は土砂降りの雨の中でその女から体を密着されている。すると、一部始終を見ていた誰かは、女が中年男に連れて行かれるように映っているのではないだろうか。

 野上は、奈々の肩を抱き寄せたままだ。次にウエストをぐっと抱きよせた。
「あっ」と、彼女は声をあげた。
 最初にしても今の声にしても、奈々は男に抱かれたことがなく、慣れていないからこその反応に違いない。
(奈々は正真正銘のバージンのようだな)
 それにしても、若い女を抱えるようにして歩いていると、自分はいかがわしい男のように誰かに思われているのではないだろうか。
 抱き抱えられた女が、あっと声を上げ、助けてという態度で見上げているのは、自分が彼女のウエストを指で揉んだからだ。その証拠に、彼女の目は潤んでいる。

 周りに人影はなかった。
 野上は、奈々を抱くようにして、彼女の乳首辺りに指を伸ばした。ここだろうと思う辺りを押したとき、尖った乳首の感触が、指先から伝わってくるのだった。
 奈々は、「あっ」と声を上げ、彼の腕を脇の下で挟んでいる。
 歩きながら瞬時に反応する奈々が、野上には面白く思えた。
(バージンテストは合格だな)
 乳首をつぶされた感触が、じりじりするほど奈々に残っていた。それでも野上がクッと笑ったのには気づいている。
 奈々は彼を見上げて、火照ったように話しかけた。
「いま笑ったこと、それはなに?」
「あのさ、バージンテストだよ。……」
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