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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第1章 胎動
女が一人、生えていた。
湖面から、まるで上半身を生やすように。
静かに佇む姿は女神像の美しいが、無機質で冷たく見えた。
半裸に近い肢体は、薄布が一枚打ち掛けられているのみで豊満な乳房が剥き出しだ。乳房は男を魅了する程に豊かだが、蝋のように青白く生気というものがまるで感じられない。
だが動いている。非常にゆったりとした動きではあるが、大きな脹らみは上下していた。
「動き出したようじゃのう?」
涼やかだが膚寒さを感じる冷涼な声だった。
畏怖を与える威圧に満ちた響きは低く、身の毛も弥立つようなこの世のものではない何かを予感させる。
女の傍には傅く影が一つ――。
「――はい」
影は影で、湖面に浮いていた。
闇で染め上げたようなゆったりとしたローブが、スッポリと頭から被られている為に性別は判別がつかない。
声音も中性的で、声から判別するのも難しい。
二人の周囲には湖面から突き出た石柱が何本も、不規則に乱立していた。天然の鍾乳石なのか、氷柱石は天井から流れるように湖面下へと落ちている。
天井が存在するという事は野外ではない。
俗に言う地底湖と呼ばれる場所だった。どの程度の規模なのか、四方は完全に闇に飲まれ確認はできない。
二人の周囲は微かに仄明るく、その光源は女の下から発せられているように見える。女の足元と思しき場所に、小さな儚い光が幾つか明滅していた。
徐々に命を吹き込んでいるようにも見えるし、徐々に命を吸い取っているようにも見える――弱々しい光は、揺れるように儚い光を水面に投げかけていた。
湖面から、まるで上半身を生やすように。
静かに佇む姿は女神像の美しいが、無機質で冷たく見えた。
半裸に近い肢体は、薄布が一枚打ち掛けられているのみで豊満な乳房が剥き出しだ。乳房は男を魅了する程に豊かだが、蝋のように青白く生気というものがまるで感じられない。
だが動いている。非常にゆったりとした動きではあるが、大きな脹らみは上下していた。
「動き出したようじゃのう?」
涼やかだが膚寒さを感じる冷涼な声だった。
畏怖を与える威圧に満ちた響きは低く、身の毛も弥立つようなこの世のものではない何かを予感させる。
女の傍には傅く影が一つ――。
「――はい」
影は影で、湖面に浮いていた。
闇で染め上げたようなゆったりとしたローブが、スッポリと頭から被られている為に性別は判別がつかない。
声音も中性的で、声から判別するのも難しい。
二人の周囲には湖面から突き出た石柱が何本も、不規則に乱立していた。天然の鍾乳石なのか、氷柱石は天井から流れるように湖面下へと落ちている。
天井が存在するという事は野外ではない。
俗に言う地底湖と呼ばれる場所だった。どの程度の規模なのか、四方は完全に闇に飲まれ確認はできない。
二人の周囲は微かに仄明るく、その光源は女の下から発せられているように見える。女の足元と思しき場所に、小さな儚い光が幾つか明滅していた。
徐々に命を吹き込んでいるようにも見えるし、徐々に命を吸い取っているようにも見える――弱々しい光は、揺れるように儚い光を水面に投げかけていた。