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牝獣の哭く夜
第11章 夜景レストラン
(な、なんで……)

 美貴は狼狽した。
 自らを慰めている最中に、突然、最も忌まわしい男の顔が脳裏に浮かぶなんて。

 激しく首を振り、醜悪な部下の顔を追い払おうとする。
 諏訪の知的で精悍な顔を想い浮かべようとした。

 しかし、沼田のぶよついた肥満体は、美貴の瞼の裏に生々しく居座って、下品な笑いを浮かべ続ける。

(た、龍彦さんっ……たすけて……)

 美貴は幻の諏訪部長に虚しく助けを求めた。

 龍彦の甘美な舌先だった指先は、いつの間にか、沼田の異臭を放つ肉棒に変わってしまった。
 一本から二本に増やした自らの指先で口の中を掻き回し、舌を絡めている。

 ――おうおう、俺のチ×ポをうまそうに咥えて、そんなに嬉しいのかよ。

(嬉しくなんかないわよっ!)

 それなのに、妄想を止められない。
 顎にまで唾液を滴《したた》らせて、沼田のペニスとなった指先をベロベロと舐め続ける。
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