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蜘蛛の巣
第1章 蜘蛛の巣
どちらが捕らえたのか。


誘い誘われ、その線引きは
意味をなさない。


寂しいのだ

今夜を限りに独りの夜は終わり、
またはじまる。



終わることのない孤独が
情欲を煽る。








貴方の浅黒い肌を
我慢ならず舌でなぞった。


申し訳程度にある乳首から局所までを
辿り、それを口に含み味わう。

貴方の吐息と、口を愛撫される感覚に
じれったさを覚えた。




熱い。



浴槽にためられた湯が、口からそれを出し入れするたびに音をたてた。

かすかな水音は、私のものから聞こえるそれに似ていた。



「あ…はぁ」


目を閉じる。

感じている貴方に、すっかり欲情して
私の乳首は膨れていた。



二回目の我慢ならない状態に陥る。


触ってほしくなったのだ。


「ねぇ…体を洗って。」



湯船から出ると、湯はふたたび
私のかわりに水音をたてた。


「いいよ。」

男の目だ。
女を欲しがる男の目だ。


私はその目に幾度となく欲情した。


その目をみつめる私の目もまた
貴方を欲しがる女の目なのだろう。




「…」


黄みを帯びた比較的白い私の肌を
丁寧に彼の手が洗う。

欲情していないかのような手つきが
うらめしい。


それだけで恍惚とした。


「はぁ…あぁ…」

胸にたどりつくと、手つきは欲情に忠実だった。

這いまわるような手つきに、乳首はかたさを増して、またそれをこねるのだから
快感にぞくりと震え、吐息がもれた。



感じてしまう。
自分で触るより、ずっと。


執拗に乳房を愛撫したら、
今度はさわさわと、
既に敏感なそこを撫でる。

清潔な手つきで、私を追い詰める。


もどかしかった。

「ああ…はあはあ…あん、ああん…」

声が上ずり、せまりくる快感に耐えるように
貴方の肩にしがみついた。



私が、これ以上もないほど欲情しているのを知っているのだ。

それをわかっていて、体を流しはじめる。



「ねえ…」

はやくさわって。







罠をかけ
誘い誘われ捕らわれて
ほんとの蜘蛛はどちらかわからぬ
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