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逆転満塁ホームラン!
第9章 何気ない優しさ
【とりあえず、会社の寮でゆっくりしときな?俺達の姫の歓迎パーティーって事でカナリ盛大になる様、用意してるからさ!】
と自信満々な内海さんの言葉を話半分で聞いてた私だけど……どうやら、今回は私の予想ハズレだったみたい。
指定された居酒屋さんは、個室なのは勿論の事……部屋の中に小さい足湯みたいなのが有って、グルナビや食べログにも載っていない本当のVIP御用達居酒屋っていう様な感じだった。
主役席とやらに座らされた私の両隣には注文されたビールが揃うのを今か今かと待ち構えている内海幹事と柳君。
柳君の隣にはお調子者キャラで知られるナイン組の一人、キャッチャーの藤堂君が座っていた。
24歳の彼は打率は2割4分とボチボチだけど、大事な時は必ず打ってるイメージだ。
肩が強いから盗塁刺すのも得意だし、何より彼と柳君のコンビは最高で若さ故の強気なリードも逞しい。
チワワ……じゃない、チワワ先輩によるとナイン組の脱ぎ役らしく盛り上げるには脱ぐのが一番だ、と豪語するアホさも兼ね備えてるらしい。
その横には、首元にうっすいキスマークみたいなのを付けた天草が居た。
「おっ、皆揃ったか?」
「じゃあ……我らがウィングスのお転婆娘、蒼井里奈ちゃんの就職を祝って……かんぱーい!!」
威勢の良い内海さんの挨拶に、私達みんなが笑顔でジョッキを上に掲げた。
ウィングスのスタメン定着メンバーは勿論、番記者の人達や女の子はモデルとしてテレビに引っ張りだこなナノハちゃん、日本テレビの稼ぎ頭・トマパンまで来てるんだから、本当に凄い歓迎パーティーだ。
「ああ!やっぱりビールは東京で飲んでも大阪で飲んでも最高やわ!」
という私の声が思いの外、室内に通り皆が大きく笑う。
「木ノ葉記者、おもしれえでしょ?彼女、元々は議員秘書もしてたんでカナリ期待の新人っすよ。」
「柳君が言うだけあるよね、さっきから観察してるけど面白そうな子だなって思ってたんだよ。」
「でしょ?」
まるで自分の子供を褒められた親みたいな表情をするんだな。
ドヤ顔とやらで、私の頭を撫でる彼を見上げた。
「吉瀬ちゃん、分からない事あれば俺達に聞くべ?補佐も初めは付けてもらえないらしいし。」
「うん、遠慮なく頼らせてもらうね。」