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逆転満塁ホームラン!
第10章 九月のゲーム差
「マルコと蒼井がそうやってると、子供と親みたいだよな。身長差いくつあるんだよ?」
もう既に慣れてしまったウィングスでのチビネタ。
155cmは平均身長だと思うんだけど、高身長・高年俸・高偏差値の顔面と云う三単元ばかりが揃うウィングスの中に居ると、どうしても小人に見えるんだよね。
特にマルコなんて身長は196cmだし……。
ある程度の日本語がすっかり理解出来るようになったキューバ出身の彼はスペイン語で何か言いながら、私の事を地面に降ろしてくれた。
「いい写真じゃん。」
「でしょ?内海さん。」
「うんうん、それインスタに載せるの?」
「じゃないと何気に蒼井のファン多いからね。」
さりげない二人の会話を聞いて、耳がダンボになった。
「へっ、今何て言いました?」
「ああ?何気に蒼井のファンが「吉瀬ちゃん、結構人気あんだよー?知らないの?」
新調したグローブを馴染みやすいように、触ったり叩いたりしながら、優しい笑顔で話しかけてきてくれる内海さん。
抑えになってから絶好調で、先月は通算6セーブを上げていた。
「何の事か全く分からないです。」
「え、蒼井。お前インスタ見てないの?」
「私、インスタのアカウント持ってないですもん。広報違うから触る事もないし…」
と言うと、出たがりな柳くんが『えええ!』なんて、これまた大げさに叫びながら、自分のスマホを持ってこっちに小走りで向かってくる。