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逆転満塁ホームラン!
第10章 九月のゲーム差

ほら、と見せられたのは何度か見た事がある野球の2ちゃんねるみたいなのだった。

選手の打率とかセーブ率とか、そういう話ししか書いてないと思ってたのに……柳君が持つスマホの中には間違いなく私のスレッドとやらが立っていた。

「これって私の事やんな?」


「そうそう。最初、逢沢が見つけて吉瀬ちゃんが休みの時にこっちで話題になったんだよ」

「スタッフでスレッド立てられるって中々無いからな。まあ蒼井が若い女だったってのも有るのかもしれないけど、それでも珍しいパターンだわ。」


「え、柳。あんまり悪い事とか書いてなかったんだろ?」


「あんまりってか全然書いてませんよ。男は可愛い可愛い言ってる感じだし、女は羨ましい〜って言ってる感じだし。悪口とかそんなんは無いっす」


「……よかったあ…。」

思わず出た本音を隠す為、急いで口を抑えるけれど皆にはバッチリ聞こえていたみたいだった。

はははっと乾いた笑いがドームに響く。


「でもウィングスも良いことだよな、こうやってチーム仲良くなったとか雰囲気良くなったって書かれるのは。」

「内海さんが抑えに回ったからじゃん?」


「おめっ……柳!」

焦ったような顔で、柳くんの頭にゲンコツを落とす内海さんを見て今度は私も笑う。


「あっ、おはよー天草!」

「ん。」


「あんた……もう、またこのネックレス反対に付けてるやん!」

肩凝り防止のネックレスを、どうやったら反対に付けることが出来るんだろう。


この二週間、ほぼ毎日間違って付けてくるコイツには呆れてモノも言えなくなりそうだ。

だけど……やっぱり何処か母性本能が擽られてしまうのか、こうやって背伸びをしながらでも付け直してあげてしまう。

そしてそんな私達を見て、まるでからかう様に柳君達はニヤニヤとし出すのだ。大体、いつもこのパターン。

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