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逆転満塁ホームラン!
第12章 半端ない週刊誌

東都ドームに着いたのは午前二時前だった。

だけど、全然眠くならない。よほど神経が興奮状態に有るのだろう。

心配そうに私の腰を撫でる柳くんに連れられる様にして、もうすっかり見慣れたバックルームの前に立つ。

──相変わらずのマイペースぶりを発揮したのは天草だ。私の立ち往生する様子に気付かない様に、何の合図も無く扉を開けた。


「……吉瀬ちゃんっ!!」

ベンチに座って、両手を握っていた内海さんが天草の後ろに隠れる様にして立っている私を1番早くに見つけると、全力でこちらに駆けてきて、ギューッと力強く抱きしめてくれる。


「大丈夫?…じゃないよな。とりあえず座りな?」

「ありがとうございます。」

私は案外大丈夫なんだけどな。

確かに腰が痛いし、もっと言うなら身体中の所々がふとした瞬間に痛むけど──これ位で泣き叫ぶほどヤワに出来てない。

チワワ先輩が、私達の来る時間を逆算してくれたのかまだ暖かいココアを、わざわざ私の前にしゃがむ様にして手渡してくれる。

その目は、想像よりもうんと優しくて……ああ、本当に自分が情けないな。


「千里会長はもう寝てるみたいで、この話しは今のところ会長代行止まりだ。……青木のラインはテンパってたからイマイチ分からなかったし、もう一度説明してくれるか?」

小動物顔からマネージャー顔に変化した千葉さんは、私の頭をポンッと一度軽く叩くと『元気出せや』と口パクで言い……気を使ったのか、あの場に居た私以外の人物に、そう問いかけた。



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