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逆転満塁ホームラン!
第12章 半端ない週刊誌
溢れているコメントの多くは、私への応援メッセージや相手の男の子達を否定する言葉だった。
ああ、だめだ。
涙線が弱くなったのかな?泣く気なんてなかったのに涙が止めどなく溢れ出てくる。馬鹿だな、皆の前で……。
「泣かなくて良いよ。」
「内海さんっ……!」
ギュッと優しく抱きしめられると、なぜか父親に抱きしめられた時の様な安心感が私を襲う。この人には凄いパワーがあるんだろう。
「ネラーのクセに善悪の判断は付くんだな」
「ネラーの前にウィングスのファンだからだべ?ウィングスファンからしたら吉瀬ちゃんは勝利の女神みたいなもんだし。」
──笑いながらそんな事を言う柳くんに首を振って否定すると、否定返しをされた。
「何首振ってんの?吉瀬ちゃんが居るから俺達はもっと雰囲気良くなれたし、ナイン組は酒の飲み方を覚えた。」
「体調管理もしてくれて、心のケアもしてくれて。勝敗の結果次第で吉瀬ちゃんの顔が不貞腐れたり笑顔になったりするからこそ、俺達も頑張れるんだべ?」
「柳さんの言う通りっすよ!本当は隠すはずなのに、あからさまに『そこは打てよ』って顔されるからこそ、次は頑張ろう!ってなるんすよ。だから……ウィングスの、あの5連勝があるんじゃないんすか?」
単純な馬鹿ということか?普通ならポーカーフェイスを貫くべきなのは分かってたけど……というかポーカーフェイスのつもりだったけど。
試合の結果次第で、そんなに表情が変わってるんだという事実を知って苦笑いしか出来なかった。