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逆転満塁ホームラン!
第12章 半端ない週刊誌
「なるほどなあ、他に叩ける粗探して社会的にぶっ潰した上でアイツが会社を操作出来ない様にするって事だべ?」
「そう。それしか蒼井を守る方法はねえだろ。唯一、身元がまだ分かってない奴だって二人がそうなれば焦って雲隠れするに違いねえよ。」
「じゃあそれに加えて土間は日本テレビを退社、夏菜子とか云う奴も国際線のCA引退やな。」
「すげえ面白えじゃん。」
人の人生を簡単に決めてしまうって……私や仲間に対して優しい事には変わりないけれど、巷では有名なナイン組の悪い噂の根はここなのかも。
守ってくれる為の行動とは云え、やっぱり踏ん切りがつかない。本当にそこまでしていいのか、って思っちゃう。
いや、していいんだろうけど──。下を向いていた私の様子が可笑しいと気付いたのは、私を愛してやまない天草だった。
何も言わずに抱きしめられ……
顎を持ち上げられる。
「お前はオレ達の大事な仲間やし、ウィングスの吉瀬ちゃんである以上に俺が自分を見失うほど本気で惚れた蒼井里奈、やろ?」
「何も怖くないし、お前は何も悪くない。そこまでして当たり前の事をアイツ達にされてん。」
「誰のモンに手出したか、誰がバックに居るって分かっててお前の事をそこまでしたんか」
「事の大きさを分からすだけや。」
「──住友だけお前の事守るなんてズルいやんけ。……俺は確かに野球しか知らんアホやけど、それでもアイツ以上にお前の事は心配やしスキやねん。」
「俺にも華持たせてくれや。」
最後の一言は、わざわざ彼がしゃがんで私の耳元で囁いたもの。
低くて少し枯れていて……どこか自信の無さそうというか悔しそうな声……ドキッとしてしまったのは内緒にしておく。