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逆転満塁ホームラン!
第14章 リーグ優勝を掴め!
既に集まっている選手陣を見つけると素早くラインを送信した。
一件は横浜の同級生である柿沢に……『頼んだよ』と。
そしてもう一件は大ライバルのエースである松本さんに『お互い全力を尽くしましょう』と、シンプルなメッセージ。
「ほら、吉瀬ちゃんは天草の隣だべ?」
「此処でもそれ言う?!」
半ば強引にナチュラルハイの天草の隣に入れられた私。天草の左腕と柳くんの右腕が私の肩に掛けられている。
こんなのウィングスファンの女の子からしたら、天国でしかないだろうな…
普段は円陣なんて一切組まずに、試合5分前でも各自馬鹿を言ったりゲームをしたりする様なマイペース球団だけど、皆……初のリーグ優勝に掛ける思いは半端じゃないのだろう。
既に何度も会話しているスタッフさんや、私の事を沢山面倒見てくれたチワワ先輩も円陣に参加していた。
一歩間違えば沈黙になりそうな、この雰囲気を破ったのは隣の我儘で天の邪鬼な私のスキな人。
いつもとは違う様子である事は確か。だけど、それが興奮からなのか緊張からなのかは分からなかった。
「……蒼井里奈」
「へっ?」
「──阪神の福谷さんとウィングスのメンバー、どっちが好きやねん?」
「……。」
ああ、関西のノリだ。
咄嗟に懐かしく思えた"フリ"とやらに全力の笑顔を浮かべてみた。
「ウィングス!!」
「お前が困った時や大変やった時にいつも側に居たのはどの球団や?」
「…ッ、ウィングス!」
「お前が1番、優勝してほしい球団は?」
「……ウィングスっ!!」
「っしゃー!ここで負けたらペースは完全にカープにいくことになる。」
「だからこそ、この試合勝って……ウィングス、球団初リーグ優勝掴みにいくぞ!!!」
天草の気合の入った声掛けに選手皆が声を揃えて返事をした。
──ああ、やっぱりどことなく何時もとは気迫が違うな。