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逆転満塁ホームラン!
第14章 リーグ優勝を掴め!

汗をかいてるのか、いつもより身体にフィットしてるユニフォームの上から思い切り抱きしめてあげた。

照れ屋な彼は、こういう時は私の背中に腕を回してこないけど、それでこそ天草流って云う男なんだよね。


「私の夢、覚えてる?」


「……ん、覚えてる。」



「そっか。でももう一回言わせて。」

「あたしをリーグ優勝と、日本一に連れてってよ。」

「あんたの側で、そんな夢みたいな2つの景色見させてよ。」


顔をあげるとバッチリと目が合う私達。

彼の二重で切れ長の本当に、とても綺麗な瞳が私の瞳を捉えて離さない。


ロッカールームだと分かりながらも、理性に歯止めが効かなくなった私が背伸びしてキスしようとした瞬間だった───ムードも何もない天草が、ぷっと吹き出したのだ。


「なっ、ここで笑う?!あんな女抱き回してたアンタがこれ位で照れんなや!!」

「ははっ、まじで今のはゴメン。」


「最悪!!もう出てって!早くベンチ行って!!」

「怒んなって」


「怒るわアホ!人の勇気を……っ!」

必死に文句を垂れながら大きな身体から離れようとしてた時。

両腕をいとも簡単に拘束されて、頬に触れるだけのキスをされる。


「お返し。」

「……っ!」



「仲間の証、やな。」


ひらひらと手を降って、そんなワンピースにでも出てきそうなアツい台詞を言いながら部屋を出ていこうとする彼の背中に声を掛けた。


「…ッ、恋人の証は?!」

「首に……首に、あんたの女やって証はいつ付けてくれんの?」


ゆっくりと振り返る天草流。

先程よりも緊張がうすれてリラックスした表情には成っているけれど……それと同時にもうすっかり見なれた意地の悪い笑みも復活していた。

「……おまえ、それどういう意味か分かってん?」


「──、うん。」




「上等やん。…じゃあ話しは簡単や。」

「里奈。」



「はい。」




「黙って信じとけ。絶対にリーグ優勝と一緒にお前の欲しがってるその証ってやつも付けたるから。」



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