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逆転満塁ホームラン!
第14章 リーグ優勝を掴め!


「慰めにきたんか?」

呆れてる様な…全てを諦めた様な…普段見る事のない種類の無理な笑顔を見ると胸がキツく締め付けられる。

「情けないよな。いくらトリプルスリー今年も取れたからって、打率良いからって」

「こんな大事な場面で打たれへんとか情けなすぎて言葉も出えへんわ。」

ポケットに手を突っ込みながら、そんな事を言った天草。きっとこれが彼の本心なんだろう。


「……しっかりしてよ。」

「──。」


「打たれへんのじゃない。ボールが当たってくれへんだけ、やろ?」

「あんたのバットに当たる気分じゃなかっただけの話しやん。」


「はあ?」


「打たれへんとか、当たれへんとか。そんなん言い出したらあんたが悪いみたいやん。あんたは何も悪くない」

「悪いのはあんたのバットに当たってこようとしてないビビりきってるボールじゃないん?」



「お前何言うとん?アホちゃう?」

「第一、野球のルールも知らんくせに知った様な口効くなや。バッターってのはな、待ってるだけじゃアカンねん。自分で打ちにいってナンボの世界やねん、分かるか?」


「……はあ、ちょっと期待した俺がアホみたいやったわ。お前の慰めなんぞアホ過ぎて何の足しにも成らんわ。」


チビな私と背の高い天草。

見下す様な視線を数秒送られてから、小馬鹿にした様な笑みを向けられた。……でも馬鹿なのはあんたの方よ。

私はその笑みが見たかったの。


「それやん、天草」

「……はぁ?」


「普段のアンタは私の事を散々馬鹿にして、アドバイスしても聞く耳なんて持たへんし、自分のする事やる事に絶対的な自信を持ってる四番の天草流、やろ?」


「私の事馬鹿にして、嫌味言うて、小馬鹿にした様に笑うのがアンタやん。」


「……円陣の時みたいにナチュラルハイなアンタはアンタじゃないよ。」



「私が惚れた天草は、自分の中に『男はこうあるべき』ってのがしっかりと存在してて…」

「それにアホみたいに忠実に従ってたアンタやで。」


「諦めたり、悲しくなったり……そんな姿を東都ドームで見せる様なアンタはアンタじゃない。」


「……っ。」


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