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逆転満塁ホームラン!
第16章 幻のヒーローインタビュー
深く頭を下げた二人がお立ち台を降りる時に………急に足を止めて、何かを決心した様にアナウンサーからマイクを奪う天草。
柳君は特に驚いた様子も無く、先程と変わらないニヤニヤした顔で目を瞑る天草の顔を隣で見つめていた。
「最後に一個、いいっすか?」
「……?はい、勿論です。」
スクリーンにドアップで映し出される我儘で自己中で……だけど実は愛情深く少しおバカなあの人。
普段はあまり見る事のない彼の緊張した表情を見たら──何故か胸がキュンとしてしまう。これが恋、なんだろうなあ。
相手の一喜一憂した表情を知れて嬉しいなんて……子供じゃあるまいし。ましてや恋愛初心者でもあるまいし。
だけど、確かに最近まで自分の気持ちに気付いていなかった私は松本さんに言われた通り、鈍感だったのかもしれない。
「吉瀬ちゃん…って俺は呼んだ事ないから」
「───へ?」