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逆転満塁ホームラン!
第16章 幻のヒーローインタビュー
「ははっ!そうですか!──では天草さん!まずは逆転ホームランとリーグ優勝おめでとうございます!」
「ありがとうございます。」
「今回、球団創立初のリーグ優勝となりましたが気持ちはいかがでしょうか?」
「監督と同じっすね。変わらず応援してくれたファンの皆とかフロントの人達への感謝しか無いです。」
「今日は、あのホームランまで思う様なバッティングが出来てなかったと感じていましたが……」
「まるでウィングスそのものを表すかの様な下剋上といいますか、最後の最後での追い返し。アレはやはり気持ちの面からの結果でしょうか?」
「そう……っすね。皆が繋いでくれて得たチャンスやったので、早く試合を終わらせて監督を胴上げしたいな、と思ってインコースギリギリ狙って打ちました。」
「広島が負けてたのはご存知でしたか?」
「はい。俺が打席に入った時に一回空気が変わって……その時に"あ、俺が打てばウィングスが優勝かどうか決まるんや"と思って──気合いが入ったのは確かですね。」
まだまだ何か聞きたそうな、興奮気味のアナウンサーが球場スタッフにバツマークを作られていた。
確かに、そろそろテレビ中継は終わりの時間だしビール掛けの用意に取り掛からないと、この後生放送される『週間スポーツ』に間に合わない。
週間スポーツで、ビール掛けの様子を放送してもらうっていう手順だった。……そうそう、入社したての富岡アナが来てくれるんだったよね。
『ありがとうございました!本当に、球団創立初のリーグ優勝、おめでとうございます!!』
と云う元気いっぱいのアナウンサーの声と、鳴り止まない拍手の嵐。