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逆転満塁ホームラン!
第17章 不器用なアナタ

ほい、と渡されたのは私も家で使っているニトリのグラス。溢れるんじゃないかって位に入れられた烏龍茶はキンキンに冷えていた。


何も言わずに、当たり前かの様に隣に座られて少し背筋が伸びる。

テレビも何もついていない静かな空間を先に破ったのは、天草。

「あんさ」

「うん?」


「まず、謝ろうと思って。で、部屋に呼んだ」

「謝る?何を?」


「俺、ビビリやから。というかプライド高いし。……その…お前の気持ち云々にして断りにくくさせる為に、あの場で強引に告白してん。」

「……。」


「でも、それはお前を苦しめるって事にも成るかもしれへんなって。」

「だから今、ちゃんとここでお前の気持ちを知りたい。」


「──でもその前に」

「うん。」


「ずっと心に残ってた事がある。あの時、もっと早くに助けに行ってあげれんくてゴメン。普段から嫌味ばっかり言うてゴメン。」

「お前は俺よりも強がりやから、何も気にしてないよ。って言うてくれるけど、でもそれでも女やん?」

「怖かったと思うし、吉瀬ちゃんとして見られる事によってレイプの被害者やってレッテルも付きまとった数週間は、しんどくて…ホンマに嫌やったと思うねん。」

「だけど、俺って本気で恋愛とか今までした事なくて、思い通りにならへんお前に対してどういう風に接せば良いか分からんかってん。」

「気の利いた言葉一つも言えんかったし、内海さんとか柳みたいにお前を笑わせてあげる事も無理やった。」


「だからあんな態度ばっかり取ってしまった。」


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