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逆転満塁ホームラン!
第20章 ネットカフェの魔法
「はあ?!どういう事ですか!?」
私の大きな声に寝ていた選手達が目をぱっちりと開けて驚いた顔をする。
タイミング良くコンビニが見えたので、運転手さんに無理を言いバスの中には大スター達が居ると言うのに……みんなに頭を下げてからファミリーマートの前の灰皿へ掛けた。
「ちょっと……それって…」
『すみません!!実は主任の安藤が居ない間に新入社員の者が、まだワケも知らずに部屋を手配してしまいまして…』
何度も謝ってくるのは広島での宿泊先の1番エライ方。
ウィングスが泊まるのは【広島ロイヤルクラウンホテル】で決まっている。マツダで雨天中止の試合が溜まり、確かに急に手配したのは間違いないけれど──。
それでも過去の履歴を見たら選手達やコーチ陣は二人一部屋、監督と女の私は例外で一人一部屋の具合で手続きをしないとイケナイって事は明白だったはずだ。
それなのに……
『本当にすみません!!蒼井様のお部屋だけがどうしても他の宿泊者様との兼ね合いも有り用意出来ず、お近くのホテルにも問い合わせましたが……』
なんて云う誠に信じがたい事をいわれたってワケだ。
こちらとしてはドノ部屋に宿泊して頂いても、御夕飯や御朝食をお頼み頂いてもお金は頂けません。なんていわれたけれど、当たり前だろ!と言いたい。
選手以外にはケチな事で知られるウィングスの大元であるWWCでさえも…気を効かせて遠征先では"蒼井は女だから"って理由で必ず一人一部屋用意してくれて、その分のお金についても何も言わないのに。
まさかの宿泊先の手違いで家亡き子、ならぬホテル亡き子、になるなんて。
だけど文句を言っても仕方ない。
「分かりました。……でも皆が煩いと思うのでとりあえずチェックインの時は謝罪とかはもういいですので、何も無かったかの様に接してください。」
諦めたかの様に静かにそう言うと、電話越しの山田さんはハイッ!と軍隊の様な返事をした。
そうなんだよね〜
もし宿泊先の手配がまだ出来ていないって事になれば、天草がブチギレるのは間違いない。柳君の部屋に泊まるのは安心だけど、ただでさえデカイ選手が二人居る部屋に私までお邪魔するのは何か暑苦しすぎて想像すらしたくなかった。