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逆転満塁ホームラン!
第20章 ネットカフェの魔法
「んな事一言も言うてないわ!!」
「第一、オイ柳!俺がこいつの事を本気でスキみたいな言い方すんなや!」
「好きなんだろ?だから土間ん時だって暴れ狂ってたしあの後も吉瀬ちゃんを自分の物にしようとお前なりに頑張ってるじゃん?」
「はあ?!?!」
病院に怒られそうなレベルの怒号。
「俺の好きなタイプはな……背高くて足長くて顔小さくてロングヘアーで猫目のモデル系の女やわ!」
「こんな、身長155くらいしか無い様な女……本気で好きなワケないやろ!!よって、お前が言った情報は全部ウソや!蒼井、忘れやなシバくからな!!」
「……はっ、はいっ。」
「──逢沢、藤堂。新しく出来たJUNGLE広島店行こ。アイノが待ってるわ。」
全然行きたくなさそうな後輩二人を無理に連れて病室を出た天草と残される柳くんと私とその他数人の選手。
ドスドスと大きな足音が遠ざかっていったのを確認してから、誰からと云う事なく皆で一斉に大きく笑った。
「おい、青木。アイツのあの顔見たべ?」
「ははは!ッ、見ましたよ!超本気でしたね?」
「いやあ笑えるわ。別に良いじゃんな?ってかアイツも散々吉瀬ちゃん本人に好きだの何だの言ってんのに、何を今更否定することが有るべ?」
「多分、人に言われるのはからかわれてるみたいで嫌なんじゃないっすか?」
「でもよお、三木。それならアイツの恋愛脳って言わば小学五年生レベルじゃん?笑えてくるわ。」
「小学五年生なんでしょ、私に対しては。」
どこか冷静にそうつぶやくと、また皆が本気で爆笑のツボに入る。
──好きだ、アイシテル、本気だ。
色々な事を言ってくる天草は誰よりもプライドが高いけど愛情深くて自分の中の頑固たる男としての形、みたいなのが有る人なんだよね。
だからこそ素直じゃないしキレたら暴走するけれど……
何故なんだろう。いつからかそんな彼が当たり前になって同時に愛しくも思えてきてる。
左の口角が少し上がったのを見て『アツいな、二人共』と笑いかけた柳君の言葉の真意には、まだその時は気付かなかった。