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逆転満塁ホームラン!
第20章 ネットカフェの魔法

「天草、ホテルには何も言わんで良いよ。これで懲りたやろうし次からはちゃんとしてくれる。」

「……。」


「吉瀬ちゃん、ホテルの件もそうだけど何で俺達に一言言わなかったべ?」

「…それは、ごめんなさい。」



「ごめん、じゃないやろ。確かに迷惑掛けたくないって気持ちも分かるけどお前は…その…若いのにネットカフェなんか泊まったら危ないの分かるやろ、ちょっと考えたら」


「別に俺達がどっかの部屋で三人で寝たら一部屋空くし、それくらい皆何も思わんやんけ。部屋割でゴチャゴチャ言ったり次の日の試合の結果に響くほどアホじゃないしな。」


「うん。」


多分、本当はもっとキツくに言いたい事が沢山有るんだろうけど必死に言葉を選んで彼なりに優しく接してくれてるのが目に見えて分かる。

点滴流されてる女にもキツく言いそうなのが彼のイメージだけど、言わないのが彼のホントの姿。


「その…お前は確かにデブやしチビやし、チンチクリンやけど世の中には物好きも居るんやしな。」

「何ていうか…もっと危機感持てやってのもあるし。そりゃ薄い毛布で寝てたら風邪引くし、疲れも溜まって今日みたいに倒れるし。」


「……はあ、天草ァ。お前は何で素直になれないべ?」

「ああ?」


大きくため息をついた柳君が他の人達と呆れながら目を合わせて、そんな事を言うと素直じゃない人間代表の天草流が焦ったようにタンカを切る。


「誰だっけ?」

「さっきまで暴れる寸前・キレる寸前で『あいつはホンマにアホちゃうんけ?!自分が思ってる以上に可愛くて男受けして良い女やってのに、自覚とか危機感とかそういうのが無さすぎるやろ!』って言ってたべ?」


「悠々快適が個人情報だから教えられないって突っぱねたらWWCの本社から警察に連絡入れさせて、情報開示させたり?」

「クラウンホテルの新入社員に文句の電話入れようとして皆にキレられたり?」


「"自覚がないのにエエ女やっていう、この状況は一番アカンやつや!!"って必死に語りかけてたじゃん?俺達に対して。」


みるみる内に顔が赤くなっていく天草。

へえ……そんな事言ってたんだ。と内心嬉しく思っていたら、ドンッとペットボトルを壁に投げつけた"あの男"。

私の事を……スキでスキで堪らない、あの男。

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