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逆転満塁ホームラン!
第5章 急な悪魔の囁き

──結局、昨日の夜に奴が帰ったのは深夜の三時半だった。

勿論、それまでの間に私がベッドに戻れることは無い。天草流なんて云うカスみたいな男が人のベッドを占領してはテレビを付けたり煙草を吸ったり……

挙句の果てには『腹減ってきた。ヤバイ』と駄々をこねてルームサービスでエビピラフとビールを頼みだしたのだ。


時たま振られる話題は広島の強さについてどう思うか……何ていう野球トークではない。やれ柳はチャラいだ、沖田監督は生粋のソープ好きだ、なんて云うテレビでは報道出来ないような裏話ばかり。


確かに面白かったし、みんなの素顔が少し知れたみたいで楽しかったけれど、それ以上に少年のような表情をして喋る天草が印象的だった。


『もう頼むから帰ってくれ』と頭を下げた時の顔なんて、今思い出してもオモチャを取られた小学三年生みたいだった。

可愛いと言えば可愛いけど、憎たらしいと言えば憎たらしい。

チェックアウトに間に合うように午前九時に合わせた目覚ましを止めると、スマホに着信が入ってることに気付いた。

近藤さん、か。

一度だけ大きな欠伸をしてから常温の水をコップ一杯飲んで体内に残っているアルコールと炭水化物を気持ち分、リセットする。

そして寝転んだまま、折返し発信をした。

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