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逆転満塁ホームラン!
第5章 急な悪魔の囁き
「おはようございます。」
「あっ、おはよう!蒼井ちゃん。ごめんね、寝てた?」
「今起きました。何か有りましたか?近藤さんが私に直接電話なんて珍しい。」
「いや、今日の打ち合わせをしておこうと思って」
「打ち合わせ……ですか?」
「食堂の方は何とか大丈夫そうでさ。そこに関しては蒼井ちゃんが今日回る必要は無いんやけど」
「はいはい。」
「あのぉ……こんなこと聞くのって何なんだけど、蒼井ちゃんってコネ入社みたいなもんでしょ?もしかして、その圧力掛けてくれた人ってウィングスの人達だったりするかなぁ?」
遠慮深く、訳の分からないことを言い出した近藤さん。
はあ?と聞き返す前にスマホの画面をもう一度見た。
確かに名前は近藤さん、で合ってる。
声も、あの優しそうな声だ。
そんな人がイキナリ何を言い出すんだろう。
「えっと……どういうことですか?」
「いや、僕も知りたいんだよ」
「だから何がですか?」
「ちなみに私を球場スタッフとして入れてくれた人は住友財閥の系列の方です。ウィングスともWWCとも何の関係も無いですよ。」
そんな新興財閥と一緒にしないでー!何なら、今すぐにでも辞めてこい!っていわれちゃったよー!
なーんて、バカみたいな声で言いたい私はまだまだオコサマ。ふふっと自分に対して小さな笑いが起きた。
「……いやっ、あのさぁ」
「今日ウィングスの第一マネージャーから甲子園の人事部の方に電話があってね。アルバイトで雇ってる蒼井里奈って子をウィングスのバックルームに入れてほしいって言ってたらしいんだよ」
「……バックルーム、ですか?」
「あ、蒼井ちゃんは阪神のバックルームも入ったことないのか!……まあ簡単に説明すると届けられたユニフォームをロッカーに書いてる名前の順番に置いてあげたり」
「人によってはストレッチをする選手も居るからさ。トレーナーの手空いてない時に背中押したり足持ったり、簡単な手伝いしたり」
「後は何だろう。……ああ、主には片付けかな。ウィングスって綺麗好きで知られてる球団だからさ」
「選手が食べたゴミとかをまとめて都度捨てたり、使ったバスタオルを運んだり、汗かいたアンダーシャツとか私服を試合終わるまでに洗濯して乾燥させたり」
と、次々仕事内容を言う近藤さん。