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逆転満塁ホームラン!
第6章 チワワの逆襲


じゃあ、と近藤さんが部屋を出たのは三分前。

球場内に有る簡易的な会議室には私と千葉ワタミ第一マネージャーの二人きり。

勿論、出会って三分で合体なんて云う安物のポルノムービーみたいな事には成らないし、会話だってしていない。


さすが色々な人を見てきて、まとめてきただけあって三十歳のはずの彼なのに何故か威圧感で恐縮してしまいそう。

「あっ、あの……」

「蒼井里奈ちゃんだね」


「はいっ…!」

被せてくる様に、私のフルネームを言いながらジロジロと上から下まで見上げる男。

ああ、なぜかヤリニクイ。天草と部屋で二人きりで居た時の方が何故か楽だった。


「近藤さんから聞いてると思うけど、俺は千葉ワタミです。大卒でWWCに入社してもう九年になるけど……」

「ウィングスのマネージャーになったのは今年で五年目。それまでは本社のインターネット流通部門でマーケティングしてたから」


「だから一応、ウィングスでも広報とマネージャー業務と両方してるって感じです。」

ダルそうな自己紹介の内容とは裏腹に私を見る目つきは鋭い。

……こう、なんて言うんだろう。

例えるならば遺体を見る時のシャーロック・ホームズっていうのかな、少しのウソも不義理な態度も見逃さないぞ、なんて云う熱意が感じられる。


「近藤さんにも同じ事聞かれたと思うんだけどさ」

「はい?」


「まあ、俺も単刀直入に聞くわ。……誰と寝てバックルーム入れて貰えることになったの?」

目も鼻も少し丸い。唇は女の子みたいで肌も白くて……近藤さんの言った通りチワワそのままの顔立ちをしてる気がする。

そんな彼がドギツイ発言をかましてきたのだから、今──私が飲んでいたお茶を吹き出しそうになったのは、仕方のないことだろう。



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